市販の甘酒で飲みやすいもの・栄養価や腸活効果が高いものを選ぶポイントは?おすすめはその両方を兼ね備えた生甘酒!

飲む点滴、飲む美容液、腸活に効果ありと人気の甘酒(麹甘酒)ですが、たくさんの種類が販売されており、自分に合う甘酒を見つけるのは難しいですよね。

美味しくない甘酒を選んでしまって甘酒が嫌いになったり、間違ったものを選んで求める効果が得られなかったり。

今回は市販の甘酒の中で「クセが少なく飲みやすい甘酒」「栄養価と腸活効果が高い甘酒」を選ぶポイントをそれぞれ解説していきます。

実はこの二つ、基本的に全く逆なのです。最初に解説する飲みやすい甘酒のポイントを理解すると、栄養価や腸活効果が高い甘酒も選べるようになります。

甘酒
もくじ

市販の甘酒で飲みやすい甘酒を選ぶポイント

スッキリとクセが少なく、飲みやすい甘酒を選びたい方には、日本酒を製造している酒蔵の甘酒がおすすめです。例えば獺祭を醸造する旭酒造さんの「獺祭 甘酒」はとてもスッキリとしたクセのない甘さで甘酒が苦手な人でも飲めてしまうほど美味しいです。その理由は、原材料のお米の種類と、精米歩合にあります。酒蔵の甘酒でなくても、以下の条件を備えていれば飲みやすい甘酒でしょう。

お米の種類の違い

日本酒を製造する酒蔵の甘酒が飲みやすい理由の一つはお米の種類です。日本酒に使われる原料米は大きく分けて

1、普段私たちが食べる飯米(コシヒカリなど)

2、酒造り専用の酒造好適米(山田錦など)

の大きく分けて2種類あり、酒蔵の甘酒はこのふたつ目の酒造好適米を使用していることが多いからです。

酒造好適米(酒米)はお酒にした時に雑味となるタンパク質などの含有量が元々少なく、中心には心白と呼ばれるでんぷん質が多く含まれる部分があるのが特徴です。山田錦に代表される酒造好適米はもともとサッパリとした淡白な味わいのため、甘酒にした場合でもスッキリとした甘酒に仕上がる傾向があるわけです。

酒造好適米を使った甘酒

精米歩合による違い

日本酒を製造する酒蔵の甘酒が飲みやすい理由の二つ目は精米歩合です。

日本酒にした時に雑味(私は米の旨味と呼びますが)となるタンパク質や脂質といった栄養素はお米の外側に多く含まれます。私たちが普段食べる白米は玄米から外側を10%だけ削り、残りの90%を食べます。この残った90%を精米歩合と言います。

精米歩合90% = 10%削って90%残った部分を使う

酒蔵は高い精米技術でこれよりもはるかに多く米を削って日本酒を造ります。食べる白米の精米歩合を90%とすると、日本酒は精米歩合70%から低いものでは50%、獺祭磨き二割三分の驚きの23%(77%も削って23%だけ使います!)、さらに低い精米歩合のお酒もあります。基本的には米(特に酒造好適米)は磨けば磨くほど、でんぷん質の割合が高まり雑味のないスッキリとした味わいになります。当然たくさん削った小さな数字の精米歩合の米で甘酒を作るとスッキリとクセのない甘酒に仕上がります。

ちなみに「獺祭甘酒」で50%、スーパーでもよく見かける八海山の「麹だけでつくったあまさけ」は60%です。

より多く精米した米を使った甘酒

米麹だけの甘酒か、米麹と米の甘酒かの違い

三つ目のポイントは酒蔵とは直接関係ないのですが、原材料が

1、米麹だけ

2、米麹と米

のどちらかという点です。

まず甘酒の原材料となる米麹は食べるとクセと言うか、独特の”味”があります。どの菌株か、どのように造ったかによって様々な味があります。

そしてこの麹の味ははっきりと甘酒にほぼそのまま現れます!

よって原材料が「米麹」とだけ書かれている甘酒でははっきりとこの麹の味が感じられます。麹の風味が好きな方は大丈夫なのですが、人によっては苦手な場合もあります。

逆に原材料が「米麹、米」と書かれている場合は、米麹に蒸米もしくは炊いた米(掛け米と言います)が加えられているため、麹の風味も抑えられます。

麹のクセの少ない飲みやすい甘酒を選びたい場合は、この原材料欄に「米麹、米」と書かれた掛け米有りの甘酒がおすすめです。

米麹に蒸米や炊いた米を加えた甘酒

メイラード反応による劣化が少ない

甘酒、特に製造から私たちの手元に届くまで時間のかかる市販の甘酒は、糖とタンパク質・アミノ酸等が結合するメイラード反応によって時間とともに風味が劣化します。このメイラード反応が飲みにくさの原因となります。メイラード反応が進むと色が褐色へと変化していきます。

酒蔵の甘酒が飲みやすいもう一つの理由はそもそも酒造好適米を使い米をより多く精米することで、メイラード反応の原因となる甘酒の中のタンパク質を少なく出来る点です。

また、メイラード反応は温度が高いほど進行するため、冷蔵で販売されているというのも重要です。

冷蔵で販売され、メイラード反応で褐色になっていない甘酒

まとめ-飲みやすい甘酒とは

  • 山田錦など雑味の元となる栄養素の少ない酒造好適米が使われている
  • より多く米を削り雑味の元となる栄養素の少ない高精米の米が使われている
  • 原材料に「米麹、米」と表記されている
  • 冷蔵で販売されている

ちなみに「獺祭 甘酒」は上記の全ての条件に当てはまっています。クセが無く飲みやすい甘酒をお探しの方におすすめです。

市販の甘酒で栄養価や腸活効果の高い甘酒を選ぶポイント

そもそも甘酒は麹の作る酵素がお米のでんぷんを分解してブドウ糖やオリゴ糖に、タンパク質を分解してアミノ酸やペプチドなどの栄養素に変換してくれることで作られますね。

まず栄養価の高い甘酒の定義を、、、

アミノ酸、脂肪酸、ビタミン、ミネラルなど糖以外の栄養素も豊富に含まれた甘酒

腸活効果の高い甘酒の定義を、、、

腸内フローラの中で善玉菌を増やすオリゴ糖と食物繊維が豊富に含まれた甘酒

以上のように定義した場合、栄養価や腸活効果が高い甘酒を選ぶポイントは、飲みやすい甘酒の条件で挙げた最初の2つのポイントの真逆となります!

酒造好適米よりも飯米

タンパク質の含有量が少なく、スッキリとした味わいが特徴の山田錦などの酒造好適米は逆に考えるとタンパク質が少ないので、分解されてできるアミノ酸やペプチドといった栄養素も少ないことになります。なのでアミノ酸やペプチドなどの栄養素が豊富な甘酒を選びたい場合は、どちらかというと栄養素の豊富な飯米の甘酒(酒蔵の甘酒以外のほとんどの甘酒が飯米です)を選ぶと良いでしょう。

栄養価の高い飯米を使った甘酒

高精米よりも低精米

タンパク質、脂質、ミネラル、ビタミン、食物繊維などの栄養素は米の外側に多く存在しています。米をより多く削り、これらの栄養素を削ぎ落としてスッキリとした味わいに仕上げた飲みやすい甘酒は当然栄養価も低くなってしまいます。特にオリゴ糖と同じく善玉菌を増やし、腸内をキレイにお掃除してくれる食物繊維は米を磨くと劇的に少なくなってしまいます。よって栄養価や腸活効果を重視する場合は50%や60%の精米歩合よりも一般的な白米の90%、そしてなんといっても精米歩合100%の玄米甘酒が最強となります。玄米の食物繊維は白米の約6倍も多く存在します。

なるべく精米を少なくした米を使った甘酒

栄養価や腸活効果の高い甘酒とは?

  • 糖質以外の栄養素が豊富な飯米を使った甘酒
  • 米の外側に存在する栄養素を甘酒に活かすため、なるべく精米をしない米で作った甘酒
  • 玄米甘酒がなんと言っても最強!

栄養価や腸活効果を考えた場合、飲みやすい甘酒を選ぶ条件と全く逆になってしまいました。

ただし、この栄養価の高い甘酒はタンパク質やアミノ酸も多いため、流通のため長期間保存されるとメイラード反応による風味の劣化も大きくなります。栄養価も腸活効果も期待できる玄米甘酒ですが、特に常温で販売されている玄米甘酒はいくら体に良くても飲めない方も多いのではないでしょうか。

栄養価や腸活効果も欲しいけど、飲みやすい方が良い!!という方!おそらく大部分の方がこのどちらも求めているのではないでしょうか。

この両方を実現出来る可能性があるのが次に解説する生甘酒という選択肢です!

飲みやすさと栄養価・腸活効果を実現する生甘酒

発酵のプロ 酒蔵の杜氏さんも認める美味しい生甘酒

生甘酒とは、通常の55度~60度前後での甘酒の発酵の後に、さらに温度を上げる”火入れ”と呼ばれる加熱殺菌をしていない甘酒のことです。

通常の市販の甘酒は、常温や冷蔵で流通させるため、85度前後での加熱殺菌処理をして日持ちさせます。(生甘酒についてはこちら↓の記事で詳しく解説しています)

知ってほしい!今話題の生甘酒と市販の甘酒の違いを紹介します #11

とある酒蔵の杜氏さんが「火入れで本当に美味しい甘酒は作れなかった。やっぱり生甘酒が1番美味しい」とおっしゃっていました。私たちAMAZAKE HOUSEも甘酒は造りたての生甘酒が一番美味しいと考えています。

生甘酒は火入れをしていないため、基本的には冷蔵保存の上、製造して数日〜1週間程度で飲み切ることになります。

日持ちしないのが生甘酒のデメリットですが、それは裏返せば常温や冷蔵で保存することで生まれるメイラード反応による風味の劣化をそもそも起こさずに済むということです!精米歩合90%の白米や玄米の甘酒でも作りたてを飲むから美味しいのです。

作りたての生甘酒は風味の劣化が起きていないから栄養価が高くても美味しい!

AMAZAKE HOUSEの生甘酒で解説

AMAZAKE HOUSEでは高い栄養価と飲みやすさを実現するため、90%の精米歩合の白米を使用した生甘酒と玄米を使用した玄米生甘酒を造っています。

  • 原材料のお米は栄養価を重視して飯米を使用
  • 精米歩合も栄養価を重視し白米で90%、玄米甘酒は麹97%(三分つき)、掛け米100%(玄米)
  • 麹はクセの少ないスッキリとしてマイルドな味の麹を酵素力を考慮して独自にブレンド
  • 麹の風味が前面に出過ぎないように掛け米を加えて米の優しい甘さを引き出す
  • オンラインショップでは発酵後一晩寝かせて最高に美味しくなった状態で冷凍することで風味を劣化させない(冷凍での発送となり、ご自宅の冷凍庫を少々圧迫してしまいますが、自信を持って美味しい甘酒をお届けできます)

まとめ

今回は市販の甘酒の中から飲みやすい甘酒、栄養価と腸活効果の高い甘酒を選ぶポイントを解説しました。飲みやすい甘酒と栄養価の高い甘酒は条件が真逆な部分が多かったですね。また栄養価と飲みやすさを両方求める場合は、生甘酒の中から選ぶと良いでしょう。特に食物繊維がたっぷりの玄米生甘酒は腸活効果を重視する方におすすめです!

この記事を書いた人
生甘酒専門店AMAZAKE HOUSE醸造責任者の橋本宏太良
Kotaro Hashimoto

京都市出身 国際唎酒師・生甘酒専門店AMAZAKE HOUSE醸造責任者。

アメリカ、オーストラリア滞在を経て現在は京都伏見にて日本酒や甘酒、麹の文化を世界に発信している。ガイドを務めるKyoto Insider Sake Experienceはトリップアドバイザーで外国人に人気No.1の日本酒体験となっている。

この記事を書いた人
生甘酒専門店AMAZAKE HOUSE醸造責任者の橋本宏太良
Kotaro Hashimoto

京都市出身 国際唎酒師・生甘酒専門店AMAZAKE HOUSE醸造責任者。

アメリカ、オーストラリア滞在を経て現在は京都伏見にて日本酒や甘酒、麹の文化を世界に発信している。

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