甘酒は腸活にとても効果的です!世の中には色々な健康食品がありますが、甘酒を取り入れた腸活は、効果を実感している方が多いように感じます。
ただ、甘酒を飲むことで、腸で何が起こり、どのように腸内環境が改善するのか深く考えたことがない方も多いのではないでしょうか。
今回は甘酒醸造家として、また日本酒ファンであり、日本酒の魅力を世界に発信するガイドも務める著者の視点で気づいた甘酒腸活の基本と、日本酒の伝統的な製造手法との驚くべき類似性についてお話ししたいと思います。
京都市出身 国際唎酒師・生甘酒専門店AMAZAKE HOUSE醸造責任者。
アメリカ、オーストラリア滞在を経て現在は京都伏見にて日本酒や甘酒、麹の文化を世界に発信している。ガイドを務めるKyoto Insider Sake Experienceはトリップアドバイザーで外国人に人気No.1の日本酒体験となっている。
京都市出身 国際唎酒師・生甘酒専門店AMAZAKE HOUSE醸造責任者。
アメリカ、オーストラリア滞在を経て現在は京都伏見にて日本酒や甘酒、麹の文化を世界に発信している。
腸活の基本 | 腸内の微生物に何が起こっている?
腸活の基本は
- 腸内環境・腸内フローラの改善
- 善玉菌を増やすこと
ではなぜ善玉菌を増やさないといけないのか?善玉菌が増えるとどうなるのでしょう?
善玉菌といえば、まず思い浮かぶのは乳酸菌。乳酸菌は発酵の過程で乳酸を作ります。
同じく善玉菌の代表選手であるビフィズス菌。ビフィズス菌は乳酸と酢酸も作ります。この乳酸や酢酸が作られると腸内は酸性となります。
食べ物を腐りにくくするために酢締めをしたりしますよね?同じ原理で酸性の状態では大腸菌など悪玉菌は増殖しにくくなるのです。また乳酸菌の生成するバクテリオシンという物質には病原菌の増殖を抑制する効果があります。これが悪玉菌の増殖を抑えて善玉菌が優位な腸内環境になる仕組みです。
甘酒は微生物たちの栄養源
ではこれら善玉菌たちのエサはなんでしょうか?
- 乳酸菌 → ブドウ糖 = 甘酒!
- ビフィズス菌 → オリゴ糖 = 甘酒!
善玉菌の代表選手達も糖が大好きです。特に大腸の腸内フローラに大きな役割を果たすビフィズス菌は、小腸で消化吸収されずに大腸まで届くオリゴ糖などの難消化性物質を栄養源とします。
そして甘酒はこれら多種多様な糖を豊富に含みます。こうしてみると、人間も微生物も糖を栄養源とするところなど、とても似ていると思いませんか?
腸活だけではない微生物の恩恵
ちなみにこの善玉菌と悪玉菌のフローラ、酸性の環境が悪玉菌の増殖を抑えて健康な状態を保つというのは腸に限ったことではありません。
例えば、人の肌にも善玉菌や悪玉菌のフローラが存在します。
皮膚に住む善玉菌の役割は…
- 皮脂を分解してグリセリンや脂肪酸を生成
- 肌を酸性に保つことで悪玉菌の増殖を抑える
- 肌を健康な状態に保つ!
コロナ禍で手洗いと消毒の機会が増え、手荒れに悩む人が多くなっているのも当然です。元々人に備わったバリア機能である肌のフローラを破壊しているのですから。
ちなみに冬場の手荒れに悩んでいた著者は最近、某大手メーカーの殺菌成分入り薬用ハンドソープをやめて、無添加の石鹸成分だけのハンドソープに変えました。店の食器用洗剤も石鹸成分のみの洗剤に変えました。著者もスタッフも手荒れがかなり良くなっています。
日本酒の伝統製法は腸活と同じ
ここで一見全く関係無さそうですが、日本酒の伝統製法の話をします。
日本酒造りでは、アルコールを作る発酵の前段階に“酒母造り(酛造り)“と呼ばれるプロセスがあります。アルコールを作ってくれる微生物”酵母”を育てるためのプロセスです。
しかし、酵母を育てるということは、通常他の雑菌も同時に育ってしまい、腐敗してしまうリスクがあります。ではどのように酵母だけ育てるかというと、乳酸を使います。
酵母は酸性の環境でも育つことが出来る反面、その他の雑菌は育たない特性を利用しています。現在は人工的に作った乳酸を加えることで酸性環境を人工的に作り出し、酵母のみを育てています。
この現代手法を速醸酛と呼びます。日本酒の原材料の部分には書かれていませんが、現代のほとんどの日本酒は乳酸を加えて作っています。
では昔はどうだったかというと、酒母の中で最初に乳酸菌を育てて乳酸菌が作り出す乳酸によって酸性環境を作り出し、雑菌が育たないようにしてその後で酵母を育てる手法が行われていました。この伝統的な手法を生酛造り(生酛系酒母)と呼びます。現在でも少数の酒蔵がこの生酛造りで酒造りを行っています。
※著者は生酛信者です。発酵マニアの方は日本酒業界で伝統回帰の酒造りを行う新政の佐藤祐輔さんの執筆されたこちらの記事などヨダレ出るかと思います。https://aramasa.info/2016/04/生酛について/
ここまで読んで今みなさんはこう思っているのではないでしょうか?「腸活と一緒だ!」
そうなんです。一緒なんです。微生物の力を借りて酸性環境を作り出し、悪い菌から宿主を守ってもらうというのは生物に備わった基本的な防御機能です。
私たちは意図せずとも微生物と共存し微生物に守ってもらっているのです。そしてこの事が科学的に解明される何百年も前から、この仕組みを利用して酒造りを行なっていた日本の発酵技術、すごくないですか?
ちなみにこの生酛で作られた日本酒は、酸も多く含まれるので一般的な日本酒よりも健康効果が高いと思っています。
まとめ | やっぱり日本の発酵食文化はすごい!
今回は甘酒を飲む腸活の基本的な仕組みと、日本酒造りとの驚くべき類似性についてお話ししてきました。
甘酒が腸内環境を改善してくれる仕組みが分かれば、より確信を持って甘酒腸活を続ける事が出来るのではないでしょうか。
著者のおすすめは、毎朝の甘酒習慣と、1日2~3食のお味噌汁、そして晩酌はビールではなく日本酒です!
日本酒の中でも特に生酛造りの純米酒。麹と発酵の力を取り入れて健康的な生活を送るとともに、日本の発酵文化への敬意を忘れずにいたいですね。
京都伏見のAMAZAKE HOUSEでお待ちしてます♪
私たちは京都伏見のAMAZAKE HOUSE (甘酒ハウス) という手作り生甘酒のお店です。京都産のお米と米麹を使用した、こだわりの甘酒を提供しています!
AMAZAKE HOUSEの店舗がある京都伏見は、日本酒の生産地として有名な発酵文化の根付く街です。
幕末の志士達も駆け抜けた風情ある酒蔵の並ぶ街並みや、桜や柳が綺麗で十石舟が行き交う濠川、京の都を遷都した桓武天皇陵や明治天皇陵のある桃山など魅力あふれる街です。
京都観光の際は是非伏見酒蔵地区へもお越しいただき、当店の生甘酒をお楽しみください。
お店の近くには月桂冠大倉記念館や、寺田屋、御香宮神社というスポットもあります。AMAZAKE HOUSEは竜馬通りという観光地内にありますので、観光の合間にぜひお立ち寄りください!